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2024.03.22
-社労士と行政書士の違いとは?それぞれの独占業務について詳しく解説-
法律や会社経営に関する困り事があるときには、社労士(社会保険労務士)や行政書士といった士業のプロフェッショナルに相談するのがおすすめです。
しかし、ビジネスに関する相談先を選ぶにあたって、社労士と行政書士のどちらを選ぶべきかと悩む方もいるでしょう。
社労士と行政書士の業務権限は異なるため、状況に応じて相談先を見極めたいものです。
そこで今回は、社労士と行政書士の違いについて、また独占業務の内容について詳しくご紹介いたします。
社労士と行政書士の違い
まずは、社労士と行政書士の業務内容の違いや特徴について見ていきましょう。
社労士(社会保険労務士)とは
社労士とは社会保険労務士法に基づく国家資格で、社会保険に関連する問題をはじめとした幅広い業務を依頼できます。
具体的には、以下のような手続きや相談を行いたいときに社労士を頼りましょう。
・労働社会保険に関する申請書や届出書、報告書などの作成
・労働管理の相談や指導
・年金相談
・紛争解決に関するあっせん手続き
社労士が担う業務の中でも最も大きなものは、労働保険や社会保険の加入や脱退、被保険者視覚の取得や喪失に関する手続きです。
さらに、健康保険や厚生年金保険の算定基礎届や月額変更届の作成、保険の更新手続きや給付手続きなども担っています。
社労士は各種保険や年金に関するプロフェッショナルで、さらに労務管理についても幅広い業務を行えます。
これらに関する書類の作成や手続きの代行依頼に加え、社労士には総合的なコンサルタントを依頼することも可能です。
雇用保険や健康保険の仕組みは複雑で、一連の手続きにはかなりの時間や手間がかかってしまいます。
保険関係の手続きに間違いがあった場合、業務に大きな支障をきたすおそれもあります。
保険や労務管理に関する豊富な知識をもつ社労士に依頼すれば、適切なアドバイスや手続きのサポートを受けることができ安心です。
行政書士とは
行政書士は行政書士法に基づく国家資格となっており、以下のような業務を依頼できます。
・官公署に提出する書類の作成
・権利義務に関する書類の作成
・事実証明に関する書類の作成
・各種書類の代理提出
・相談業務、その他特定業務
行政書士は主に、官公署に提出する書類の作成や提出、調整や相談の業務を担っています。
官公署とは国の各省庁や都道府県庁、市役所や区役所、町役場や村役場、警察署などのことを指します。
これら官公署に対して提出する書類の種類はトータルで1万種類以上と膨大ですが、その多くは許認可に関する内容です。
特に依頼が多いのは、飲食店営業許可申請書や建設業許可申請書、旅館営業許可申請書といった申請書類の作成です。
さらに行政書士は、権利の発生や存続、変更や消滅に関する意思表示のための書類も作成します。
権利義務に関する書類の種類は、各種契約書や念書、協議書や示談書、内容証明や告訴状などさまざまです。
また、各種図面や会計帳簿など、事実証明に関する書類の作成も行政書士の業務の1つです。
行政書士は膨大な書類の作成に加え、官公署への提出代行や各種相談といった業務も担います。
社労士と行政書士の独占業務とは
社労士と行政書士にはそれぞれ独占業務と呼ばれる業務範囲がある点に注意が必要です。
独占業務とは、業務独占資格をもつ者でなければ携われない業務のことをいいます。
ここからは、それぞれの独占業務についてチェックしていきましょう。
社労士の独占業務
補助金や助成金の申請を行いたい場合には、社労士や行政書士に依頼するのが一般的です。
ただし、社会保険に関する助成金の申請業務、労働管理に関する申請業務は社労士の独占業務に分類されており、行政書士が担当することはできません。
雇用関係やキャリアアップ、職業訓練など、働く人に関する申請や手続きは社労士の独占業務となります。
一方で、運転資金や設備投資、特許や商標に関する申請業務であれば、社労士と行政書士の両方が担当できます。
行政書士の独占業務
行政書士にも、ほかの士業には担当できない独占業務があります。
行政書士の独占業務とは、官公署に提出する書類や事実証明に関する書類、権利義務に関する書類の作成の3点です。
例えば店舗や営業所を増設する場合に必要となる営業許可申請書や建築確認申請書、車庫証明などの手続きは行政書士の独占業務となります。
しかし、店舗や営業所で雇用する労働者の保険に関する手続きは、社労士の独占業務です。
業務を開始してから社会保険や労働保険に関する手続きをしたい場合には、あらためて社労士に依頼する必要があります。
独占業務を依頼するときのポイント
社労士と行政書士が担当する業務はそれぞれ異なりますが、手続きの内容によっては行政書士と社労士の両方に相談できることがあります。
しかし、独占業務に該当する業務を有資格者以外が実施した場合には、担当した社労士や行政書士が法令違反に問われることになります。
手続きや申請にあたってどの専門家に相談すべきか悩んだときには、まずは社労士や行政書士に対応の可否を問い合わせてみるのがおすすめです。
ダブルライセンスをもつ社労士もいる!
社会保険労務士と行政書士のどちらを頼るべきかと悩んだときには、ダブルライセンスのエキスパートを選ぶのもいいかもしれません。
会社の設立や労務管理などビジネスにおけるあらゆる手続きをワンストップで任せるため、社労士と行政書士の両方の資格をもつ専門家を選んで依頼する企業も少なくありません。
社労士と行政書士の資格には親和性があり、キャリアアップのために両方の資格試験合格を目指す人もいます。
とはいえ、社労士と行政書士の受験難易度は決して低くはなく、試験内容や出題範囲もそれぞれ異なっているため、ダブルライセンス取得は平易なものではありません。
しかし、2つの資格を取得し登録を行えば、双方の資格を活用しながら幅広いビジネスを展開することが可能となります。
社労士や行政書士にお困り事を相談できれば安心
ビジネスを滞りなく進めていくためには、さまざまな申請手続きが必要となります。
手続きには専門的な知識を求められることもあるため、豊富なノウハウをもつ士業を頼りましょう。
社労士と行政書士はいずれも、国家資格を取得した士業です。しかし、それぞれの役割や業務範囲には違いがあります。
書類作成や申請代行を士業に依頼する際には、幅広い手続きを任せられる相手を選ぶのが安心です。