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2024.01.26
-人材派遣業に必要な資格「派遣元責任者」の職務内容と要件-
人材派遣業を開業するには、派遣元責任者講習を受講して派遣元責任者になる必要があります。
人材派遣業を開業するために必要な資格はこの一つだけです。しかし実際に派遣元責任者として職務を行う場合には、3年以上の実務経験が必要です。
今回は、人材派遣業の開業に必要な派遣元責任者とはどのような資格なのか、ご紹介します。
人材派遣業に必要な許可と資格
人材派遣業の開業には「労働者派遣事業許可」と「派遣元責任者」の資格が必要です。
必要な許可は「労働者派遣事業許可」
人材派遣業の開業には厚生労働省の「労働者派遣事業許可」が必要です。
労働者派遣事業許可には
・資産に関する要件
・派遣元責任者に関する要件
・事業所の広さや立地に関する要件
・公正な事業を運営するための要件
・個人情報の管理に関する要件
など、さまざまな要件をクリアする必要があります。
必要な資格は「派遣元責任者」
派遣事業を始めるためには、派遣元責任者講習を受講して派遣元責任者になることが必要です。
資格試験に合格しなければならないわけではなく、講習を受講すると受講証明書が発行されます。
人材派遣業を開業するために必要な資格はこの一つのみです。しかし実際に派遣元責任者として職務を行うためには、3年以上の雇用管理経験が必要です。
実務経験は20歳から起算されます。20歳未満から実務経験を積んでいても20歳未満の分はカウントされないため、注意が必要です。
派遣元責任者とは
労働者派遣事業者(派遣元事業主)は、適切な雇用管理により派遣労働者の保護などをはかるため、派遣元責任者を選任し、配置することが労働者派遣法第36条で定められています。
派遣元責任者は派遣元事業所の派遣社員数100人ごとに配置する必要があり、派遣社員からの苦情への対応や派遣先との連絡・調整、派遣元管理台帳などの労務管理を行います。
派遣元責任者の職務
派遣元事業主は、派遣元責任者を選任し、次の業務を行わせます。
1.派遣労働者であることの明示等
2.就業条件などの明示
3.派遣先への通知
4.派遣元管理台帳の作成、記載・保管
5.派遣労働者に対する必要な助言及び指導の実施
6.派遣労働者から申し出を受けた苦情処理
7.派遣先との連絡調整
8.派遣労働者の個人情報に関する業務
9.派遣労働者についての教育訓練の実施、職業生活設計などの相談の確保に関する業務
10.安全衛生に関する業務(派遣元事業所において労働者の安全衛生を統括管理する者及び派遣先との連絡調整)
派遣元責任者の要件
派遣元責任者の要件は大きく分けて以下の3つです。
1.派遣元責任者の業務に専任できること
派遣元責任者は、派遣先企業や派遣労働者からの相談や苦情があった場合、いつでも対応できるように体制を整えておく必要があります。
そのため、派遣元責任者がほかの会社の役員や従業員、派遣労働者として労働することはできません。
2.3年以上の労務管理の実務経験があること
派遣元責任者は労務管理に関して以下の実務経験が必要です。
・人事や労務担当者のほか、事業主や役員、工場長、支店長、労働者派遣事業の派遣労働者や登録者の労務担当者としての3年以上の実務経験
・職業安定行政または労働基準行政の3年以上の実務経験
・民営職業紹介事業従事者の3年以上の実務経験
・労働者供給事業従事者の3年以上の実務経験
3.派遣元責任者講習を受講して3年以内であること
派遣元責任者講習を受けてから3年以上経過している場合、再度受講が必要です。
また、新しく派遣事業を行う場合は、申請前に派遣元責任者講習を受講しておく必要があります。
派遣元責任者講習
派遣元責任者講習は、労働者派遣法による派遣元責任者の選任要件で、受講が義務付けられています。
講習は複数の団体が主催していますが、講習内容は厚生労働省が策定したものに基づいているため、主催団体による違いはありません。
対象者
派遣元責任者に選任されている人や選任される予定の人が対象です。
実務経験がなくても講習は受講可能です。しかし派遣元責任者の選任には、一定以上の実務経験が必要になります。
講習内容
派遣元責任者講習のカリキュラムは次のようになります。
・労働者派遣法について
・労働者派遣事業運営の状況及び派遣元責任者の職務遂行上の留意点について
・労働基準法等の適用に関する特例について
・関係法令、制度の動向とポイント
・個人情報の保護の取り扱いに係る労働者派遣法の遵守と公正な採用選考の推進について
・受講証明書の交付
労働者派遣業の開業で社労士がサポートできること
社会保険労務士は派遣業許可の申請だけでなく、日常の社会保険・労働保険の事務手続きや労務管理のアドバイスまで、トータルでサポートができます。
派遣業を一から立ち上げたい方や許可申請だけでなく、その後の労務管理に不安をお持ちの場合は、社労士にサポートを依頼すると安心です。
労働者派遣業の開業に関して社労士に依頼できる業務は以下のようなものです。
社労士事務所によって対応は異なりますので、事前に依頼可能か確認しておくようにしましょう。
・労働者派遣事業の許可申請
・労働者派遣事業の更新・変更届手続
・労働者派遣事業の事業報告書・収支決算書・派遣割合報告書・労使協定書作成
・有料職業紹介事業の許可申請・更新手続・変更届手続
・派遣労働者の社会保険、労働保険の適用、加入手続
・派遣労働者の労務管理指導
・派遣元管理台帳の作成支援
労働者派遣事業の開業の際の社労士の選び方
労働者派遣事業の開業では派遣業許可申請が大きな山場となります。
社労士に依頼する場合は次のような条件の社労士事務所を選ぶと安心です。
・派遣業許可に強く実績・実務経験豊富な社労士
・派遣業許可と助成金申請に強い社労士
人材派遣業許可申請は難しく、専門的な知識が必要です。
派遣業許可に詳しく、実績と実務経験が豊富な社労士であれば、これまでのノウハウを生かし、最適でスムーズな提案と事務手続きをしてくれるでしょう。
労働者派遣事業の開業には派遣元責任者の資格が必要
労働者派遣事業の開業には派遣元責任者の受講修了が必要です。
それだけでなく、派遣業許可を受けるためにはさまざまな要件をクリアし、多くの添付文書を用意する必要があります。
労働者派遣法は1986年の施行から幾度となく改正されています。
最新の法律に従って派遣事業を行うためには、労働者派遣事業に詳しい社労士のサポートを受けながら進めていくとスムーズです。