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2023.11.24
-労働災害(労災)とは?業務災害と通勤災害の違い・内容-
仕事中や通勤中にケガや病気となり、労働災害として認定された場合、労災保険から補償を受けられます。
労働災害には「業務災害」と「通勤災害」の2種類があり、給付内容には違いはありませんが、内容が異なります。
今回は、労災のうち、業務災害と通勤災害の違いや、社労士に労災の申請手続を依頼するメリットについて解説します。
労働災害とは
労働災害とは、業務中や通勤中に発生した病気やけが、死亡のことです。
このうち、業務中の病気やけが、死亡のことを「業務災害」、通勤中の病気やけが、死亡のことを「通勤災害」と言います。
労働者災害補償保険(労災保険)は、労働者が業務災害または通勤災害に起因してけが、病気、障害または死亡に至った場合に、被災労働者や遺族を保護するために必要な保険給付を行う公的保険制度です。
労働者が業務中に脳梗塞や心筋梗塞などを発症したとしても、飲酒や喫煙、運動不足など、労働者の生活習慣が主な要因と認められる場合は労災には該当しません。
一方で、労働者が休日に脳梗塞や心筋梗塞などを発症した場合でも、「慢性的な長時間労働が発症の主たる要因」と認められた場合には、業務に起因する疾病であることから、労災に該当します。
業務災害と通勤災害
業務災害
業務災害は事業主の支配・管理下で業務を行っている際に発生した災害を指します。
休憩時間や就業時間の前後に食事などの私的な行為を行っている際に発生した災害は、業務災害に該当しません。
ただし、休憩時間中に手すりが壊れて階段から転落して負傷したなど、事業所の施設や設備の不備によって生じた災害は業務時間外であっても業務災害として認められます。
通勤災害
通勤災害は通勤中に発生した災害を指します。
一戸建て住宅の場合は敷地を出たところから、マンションなどの集合住宅の場合は自分の部屋を出たところから通勤として取り扱われます。
注意しておきたいのが通勤の「逸脱」と「中断」です。
逸脱は就業や通勤とは関係ない目的で合理的な通勤経路からそれることを言い、中断は、通勤経路上であっても通勤と関係ない行為を行うことを言います。
逸脱や中断があった場合、原則としてその後の移動はすべて通勤としては取り扱われません。
例えば、会社終わりに同僚と飲みに行って帰る途中の災害は通勤災害の対象外となります。
業務災害と通勤災害の違い
業務災害、通勤災害どちらも、労災保険から支給される補償内容にはあまり違いはありません。
しかし、法律の観点ではいくつかの違いがあります。
労災保険給付の名称
業務災害と通勤災害では労災保険給付の名称が異なります。
・治療費に関する給付
業務災害…療養補償給付
通勤災害…療養給付
・休業に関する給付
業務災害…休業補償給付
通勤災害…休業給付
このように、給付の名称が異なりますので、申請用紙の要式も異なります。
しかし、給付内容にはほとんど違いはありません。
療養給付の負担金
業務災害では療養補償給付金を受ける際に労働者の自己負担金はありません。
一方で、通勤災害では、原則として200円が一部負担金として徴収されます。
待機期間の休業補償
労災保険の休業給付は休業4日目から支給されます。
そのため、3日目までは労災保険の対象外となります。
業務災害では使用者に対し待機期間中に平均賃金の60%以上の休業補償が義務付けられています。
一方で、通勤災害では、使用者には休業補償の支払い義務は負いません。
解雇制限
業務災害では労働者が休業することになっても法律上解雇ができません。
一方で、通勤災害の場合は解雇の制限はありません。
労災申請の流れ
基本的な労災申請の流れは次のようになります。
①従業員が労働災害の発生を事業所に報告する
②事業所は労働基準監督署に労働者傷病報告書を提出する
③労災の請求書を労働基準監督署に提出する
④労基署において調査が行われる
⑤労災給付決定
⑥保険給付
労災保険から給付される給付金には内容により、次のような種類があります。
・療養補償給付
・休業補償給付
・障害補償給付
・遺族補償給付
・傷病補償年金
・介護補償給付
労災保険の申請手続きは社労士に依頼できる
社労士(社会保険労務士)は、社会保険、労務管理の専門家です。
労働及び社会保障に関する法令に基づいた書類の作成を代行できるほか、労務管理に関連する相談、指導にも対応します。
労働者が労働災害に遭った場合、社労士は被災労働者に代行して労災申請の手続きを行えます。
労災保険の手続きを社労士に依頼するメリット
労災保険の手続きは会社内の部署でも行えますが、社労士に依頼した方がスムーズです。
労災は予期できませんので、発生すると、ほかの業務と並行しながら、速やかに対応していかなければなりません。
このようなときに手続きを社労士に任せてしまえば、社内の負担が増えずに済むだけでなく、手続きの不備により被災した従業員に不利益を与えることもありません。
このほか、労災保険の手続きを社労士に依頼すると次のようなメリットがあります。
書類不備による不支給のリスクを減らせる
労災の保険給付を受けたい場合、最初に提出する申請書類が重要です。
記載に不備があったり、業務起因性、業務遂行性が明確になっていないと、不支給のリスクが高まります。
記載不備による不支給のリスクを減らすために専門家である社労士に申請代行を依頼すると安心です。
申請関連の会社と従業員との連絡等を一任できる
労災の申請手続は事業所の押印が必要です。
しかし、既に会社を退職してしまっていたり、トラブルが発生している場合、従業員側、会社側双方にとってやり取りが負担となるケースがあります。
このようなときに社労士に手続きを依頼すれば、双方への連絡を行ってくれるため、心理的な負担なく、労災手続きを進められます。
労災に関するトラブルを防げる
労災が発生したとき、事業者は被災した従業員が労災申請手続を適切にできるように手助けする必要があります。
事業者が労災手続きの流れを理解しないまま手続きをして対応を誤ったり、手続きが遅れると、従業員とのトラブルに発展する原因となります。
労災申請の専門家である社労士に依頼し、社労士が速やかに手続きを行えばトラブルを未然に防げます。
顧問社労士がいると突然の業務も安心
労働災害はいつ起こるか分かりません。
申請手続等の突発的な業務が発生するだけでなく、書類を不備なく申請しなければ労災保険が給付されないリスクもあります。
このようなときに顧問社労士と契約しておくと、急な業務発生の際も社労士に任せられ、業務の負担を大幅に軽減できます。