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2023.08.25
労働保険の年度更新とは?手続きの方法と社労士に依頼すると良い理由
従業員を雇っている事業所が1年に1回必ず行わなければならないのが労働保険の年度更新です。
年度更新は毎年6月1日から7月10日までの間に行わなければなりません。
今回は、労働保険の年度更新の手続き方法と、手続きを社労士に依頼すると良い理由をご紹介します。
労働保険とは
労働保険は「労災保険」と「雇用保険」を合わせた保険の総称です。
労災保険は1人でも労働者を雇用する会社は適用事業所とされ、パートやアルバイトを含むすべての労働者が加入対象となります。
一方で、雇用保険は、所定労働時間と雇用見込みによって適用対象が異なります。
労災保険
労災保険は業務上の事由や通勤により傷病を負った場合に働けない期間の賃金を補償する給付を受けられる制度です。
労災保険で受けられる給付金・一時金には
・療養(補償)給付
・休業(補償)給付
・障害(補償)給付
・遺族(補償)給付
・葬祭料等(葬祭給付)
・介護(補償)給付
・二次健康診断等給付
などがあり、とくに病気やけがの治療費を補償する療養給付と休業期間中の給与を補償する休業給付が多く利用されています。
雇用保険
雇用保険は労働者の失業や会社都合で雇用の継続が困難になったときなどに労働者の生活や雇用の安定をはかり再就職の促進を目的とした保険です。
雇用保険の保証内容は大きく
・求職者給付
・就職促進給付
・教育訓練給付
・雇用継続給付
の4つがあります。
労働保険の年度更新とは
労働保険の年度更新とは、年に1度見込み給与額をもとに雇用保険料と労災保険料を算定し、会社が前払いすることです。
労働保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までを1年間として、1年に1回計算します。
加入した年の労働保険料は加入時に納付し、翌年度以降は毎年申告・納付する必要があります。
労働保険の年度更新は、毎年6月1日から7月10日までの間に行います。
労働保険の年度更新の流れ
ステップ1 送付された書類を確認する
毎年5~6月頃に労働基準監督署から申告書と納付書(領収済通知書)、賃金集計表が送付されます。
封書が届いたらすぐに中身を確認します。
申告書にはあらかじめ
①労働保険番号
⑨⑬労働保険料率
⑱申告済概算保険料額
法人番号
が印字されています。
内容が間違っていないか確認しましょう。
ステップ2 賃金集計表の作成
賃金台帳をもとに、各月の労災保険の対象労働者(全員)、雇用保険の対象労働者(雇用保険被保険者)の、対象労働者数と賃金総額を集計し、「賃金集計表」に記入します。
賃金総額の集計の際は、賃金の対象となるものとそうでないものを区別し、対象となるもののみを集計します。
・賃金に含めるもの
基本給
賞与
残業代
通勤手当
その他手当
・賃金に含めないもの
立替経費
慶弔見舞金
実費弁償的な手当
傷病手当金
解雇予告手当
役員報酬
ステップ3 申告書へ記入
算出した算定基礎額を申告書に記入します。
さらに納付書を記入します。
概算保険料が40万円以上の場合は3回に分けての納付が可能です。
つまり、1回納付か3回納付かどちらかを選べますので、納付回数を決めたら納付書の期別納付額に各期の納付金額を記入します。
ステップ4 申告書の提出
作成した申告書を7月10日までに労働局、労働基準監督署または金融機関に提出します。
ステップ5 労働保険料の納付
労働保険料を納付します。
納付方法には、
・納付書を使用した金融機関での窓口納付
・ペイジーに対応したインターネットバンキングを利用した電子納付
・ペイジーに対応した金融機関ATMを利用した電子納付
・口座振替による納付
があります。
年度更新手続きは電子申請も可能
労働保険の年度更新はインターネットを使った電子申請も可能です。
電子申請のメリットは、インターネット上で手続きが完了できる点です。
電子証明書の取得さえしておけばパソコンでどこからでも24時間手続きができ、便利です。
労働保険の年度更新手続きは社労士に依頼できる
労働保険の年度更新手続きは社労士に依頼できます。
社労士に代行を依頼する場合、多くの社労士事務所では労働者の人数で費用が変わってきます。
依頼を検討している場合は事前に社労士事務所に問い合わせておくと安心です。
労働保険の年度更新手続きを社労士に依頼すると良い理由
社労士に労働保険の年度更新手続きを依頼すると良い理由には次のようなものがあります。
年に1度の業務をスムーズに終えられる
労働保険の年度更新は、毎年必ず行う手続きであるものの、1年に1度の手続きであり、昨年の記憶を頼りに進めようと思ってもなかなか思い出せないこともあります。
また、人事・労務担当者の引き継ぎがうまく行かず、分かるスタッフがいないというケースもあります。
提出期限までの期間が限られているなか、正しい手続きを行うのは困難な場合もあるでしょう。
その場合は専門家である社労士にアウトソーシングしてしまった方がスムーズです。
社会保険関連業務の負担を軽減できる
社労士に労働保険関連の業務を委託するとこれまで担当業務を行っていた従業員の負担を軽減できます。
これにより、人事・労務関連の部署がほかの業務に専念する時間を確保できます。
また、労務管理を社長が行っている会社は、労務関連の業務を社労士に外注することで、社長は本来の営業に関する業務に集中できます。
人件費の削減になる
大手企業は人材が豊富ですが、中小企業では社員を1人雇用するだけでも大きなコストがかかってしまいます。
人事労務担当の人材を確保するよりも、社労士に依頼した方が長期的に見ると人件費の節約になるケースは多くあります。
法令違反のリスクを軽減できる
社会保険関連の法律は頻繁に改正され、手続きも煩雑です。
社内スタッフだけで目まぐるしく変わる法律に対応するのには限界があるでしょう。
社労士は社会保険関連の専門家ですので、社労士に業務を委託すれば法令違反のリスクを回避でき、手続きの間違いも避けられます。
年度更新は事前に準備をしておく
労働保険の年度更新は毎年6月1日から7月10日までの間に行わなければならない手続きです。
更新手続きの期間が短いうえ、手続きが遅れると追徴金を課される場合もあります。
日頃から適切に賃金台帳を作成し、更新の準備をしておけば問題なく手続きはできるかと思いますが、業務の負担になるようであれば社労士に手続きを依頼すると安心です。