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2023.08.18

社労士が年末調整時に担当できる業務範囲・税理士が行う業務とは

 

年末調整は源泉徴収されていた所得税の合計額とその年1年間の確定した所得税額を精算する手続きです。

給与計算や社会保険の手続きは社労士の業務範囲ですが、源泉徴収票の作成は税理士の業務範囲となり、社労士には行えません。

 

今回は年末調整において、社労士が担当できる業務範囲について解説します。

 

年末調整で社労士ができる業務範囲

年末調整で社労士が担当できる業務は、労働・社会保険に関する業務、社内規則や帳簿に関する業務、給与、社会保険料の算定業務です。

 

労働・社会保険に関する業務

労働・社会保険における諸手続きや雇用・賃金に関する書類作成は社労士の業務です。
年末調整では1年間で支払った雇用保険料や健康保険料、厚生年金保険料を正しく計算する必要があります。

 

・労働・社会保険に関する書類作成・手続代行

社労士は労働社会保険諸法令に基づいて、行政機関に提出する申請書、届出書などの書類を作成します。

 

具体的には労働保険・社会保険の新規加入と脱退などの手続き、労働保険の年度更新の手続き、健康保険の疾病手当金や出産手当金などの給付申請手続、各種助成金申請手続などを行います。

 

・算定基礎届・月額変更届の手続き

被保険者の実際の報酬と標準報酬月額との間に大きな差が生じないように毎年1回、標準報酬月額の決め直しが行われます。
これを定時決定と言います。

 

事業主は全被保険者について、4~6月に支払った報酬を被保険者報酬月額算定基礎届に記入し7月1日から7月10日までの間に日本年金機構に提出する必要があります。

 

これらの業務を社労士に依頼することで、届出手続きが迅速・正確に処理されます。

 

社内規則や帳簿に関する業務

社労士は法定三帳簿と呼ばれる労働基準法で作成が義務付けられている「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」の作成業務を行います。

 

・労働者名簿

労働基準法107条により、労働者名簿の作成が義務付けられています。
労働者名簿は労働者ごとに店舗や営業所、工場などの事業場単位で作成し、記入すべき事項に変更があった場合には遅滞なく訂正しなければなりません。

 

・賃金台帳

労働基準法108条により賃金台帳の作成が義務付けられています。

 

賃金台帳は労働者名簿と同様に事業場単位で作成し、賃金計算の基礎となる事項や賃金の額、その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払いの都度記入する必要があります。

 

・出勤簿

出勤簿は労働基準法上の規定は明文されていません。
しかし、適切な労務管理を行うために必要な労働関係に関する重要書類として作成が義務付けられています。

 

・法定三帳簿の保存期間

法定三帳簿の保存期間は、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿のいずれも5年間とされています。

 

保存期間の起算日がそれぞれ異なっており、労働者名簿は労働者の死亡・退職または解雇の日、賃金台帳は最後の記入をした日、出勤簿は労働者が最後に出勤した日です。

 

それぞれ保存期間の起算日が異なるため、管理するうえで各帳簿の起算日を把握しておき、誤って廃棄することのないようにする必要があります。

 

給与・社会保険料の算定

給与計算業務は社会保険労務士の独占業務ではありませんが、給与計算は労務管理と密接な関わりがあります。

 

年末調整では社会保険料控除の金額が税金に影響してくることから、労務管理の専門家である社労士に給与計算を依頼するケースが多くあります。

 

年末調整・源泉徴収票の作成は税理士が行う

年末調整とは

年末調整は従業員に支給する給与・賞与の所得税等の過不足を再計算・精算する手続きです。

 

所得税は個人の所得にかかる税金で、1年間のすべての所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に税率を適用し税金額を計算します。
給与から徴収された源泉所得税が本来納める税金額よりも多かった場合に年末調整により労働者に税金が還付されます。

 

年末調整は過不足税額を調整する仕組みで、源泉所得税が不足していた場合は税金が追加徴収されます。

 

年末調整は所得税法で雇用主の義務となっており、期日までに「給与所得者の不要控除等(異動)申告書を提出した従業員に対しては必ず行わなければなりません。

 

年末調整を行ったあと、源泉徴収票を発行します。
これにより1年間の給与と源泉所得税の額が確定します。

 

年末調整関連の業務は税理士が行う

年末調整に伴う法定調書の提出や源泉徴収票の作成と提出は税理士が行う必要があります。

 

税理士の年末調整関連の業務は3つあります。

 

1つ目は企業から提出された書類をもとに給与・賞与の総額や各種控除額、所得税額などを計算する業務です。

2つ目は計算した内容から、各種法定調書を作成して税務署に提出する業務です。

3つ目は年末調整後の固定資産税を自治体に申告する業務です。
固定資産税とは、その年の1年間の会社の資産と金額から割り出される税金のことです。

 

社労士は年末調整業務を行えない

税理士法により、社労士は年末調整を行えません。

以前は社労士が年末調整を行うケースもありましたが、2016年からは年末調整は税理士の業務範囲であると結論付けられました。

 

年末調整は社労士の業務範囲ではないことが明確になっており、税金の専門家である税理士に依頼することになります。

 

給与計算はどちらが行うか

給与計算は社労士、税理士どちらも行えます。

給与計算に関する業務は、税金のほか、雇用保険、健康保険、厚生年金保険などの社会保険に密接に関わりがあります。

 

就業規則の作成が社会保険の届出が伴うため、社労士に依頼するのがスムーズでしょう。

 

社労士は社会保険に関して最新の知識で手続きを行えるほか、出勤簿や就業規則にも精通しているため、給与計算の代行を依頼するメリットがあります。

 

前述のとおり、年末調整は税理士の業務範囲となりますので、社労士の給与計算は税理士と連携して行う必要があります。

 

アウトソーシングする場合はうまく連携させる

社労士が年末調整で担当できる業務範囲についてご紹介しました。
社労士と税理士とでは業務の領域が異なるため、税金が大きく関わり税理士の業務範囲である年末調整は社労士に依頼できません。

 

一方、労働・社会保険が大きく関わる給与計算は社労士に依頼するとスムーズです。

 

したがって、アウトソーシングする場合は税金の専門家である税理士と労働・社会保険の専門家である社労士を使い分け、うまく連携して行うことが大切です。