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2023.06.23
働き方改革で近年社労士のニーズが高まっているワケとは
社労士は人事・労務にまつわる業務の専門家です。
近年の働き方改革の推進により、社労士のニーズはますます高まっています。
この記事では、働き方改革の背景や具体例、変わりゆく労働環境のなかで社労士に依頼できる業務内容などについてご紹介します。
働き方改革の背景
働き方改革が必要となった背景には大きく
①少子高齢化による生産年齢人口の減少
②働き方ニーズの多様化
といった2つの社会的要因があります。
少子高齢化による生産年齢人口の減少
働き方改革のニーズが高まっている背景の1つに、少子高齢化による生産年齢の人口減少が挙げられます。
生産年齢とは15歳以上65歳未満を指し、日本の生産年齢人口は1995年の8726万人をピークに、減少し続けています。
今後、日本の労働力の中心となる生産年齢人口が減少するとの見通しから、国内全体の生産力と国力の低下が懸念され働き方改革の必要性が高まっています。
働き方のニーズの多様化
近年、働き方のニーズが多様化していることも、働き方改革の推進を後押ししています。
日本国内では共働き世帯と単身世帯の割合が増加傾向にあります。
さらに、未婚率の増加や核家族化の影響により、単身世帯も増加しつつあります。
このような背景から家事や育児、介護などと仕事を両立できる多様な働き方にニーズが高まっています。
このようなニーズに対応するためには、労働時間や雇用体系の多様化や、テレワークの導入など働き方の選択肢のバリエーションが求められています。
働き方改革関連法の具体例
時間外労働の上限規制
労働者の働き過ぎを防ぐため、2018年6月に働き方改革関連法である労働基準法が改正され、時間外労働に罰則付きの上限が設けられました。
時間外労働(残業)の上限は、原則として月45時間、年360時間とし、臨時的・特別な事情がなければこの上限を超えることはできません。
なお、この上限には休日労働の時間は含みません。
勤務間インターバル制度の導入
勤務間インターバル制度とは前日の仕事の終了時間と翌日の仕事の開始時間の間に一定時間の休息時間を確保する制度です。
2019年4月の労働時間等設定改善法改正では、「深夜業の回数の制限」「勤務間インターバルおよび朝方の働き方の導入を検討する」という改善指針が示されていますが、具体的なインターバルの確保時間は明記されていません。
一般的な休息時間を考慮すれば8~13時間のインターバルを設けることが望ましいと言え、例えば勤務終了時刻が深夜になった場合、次の日の仕事の開始時間を遅らせるなどの対応が必要です。
年5日以上の有給休暇取得義務
労働基準法第39条ではすべての事業者に対して年次有給休暇が10日以上発生した労働者に対して、年に5日以上の年次有給有価を取得させなければならないと規定されています。
年次有給休暇取得義務で注意したい点は、
・半日単位の有給は、年5日の年次有給休暇取得義務の対象となる
・時間単位有給および特別休暇は年5日の年次有給休暇取得義務の対象外
という点です。
遂行しなかった場合罰則の対象となり、対象となる労働者1人あたり30万円以下の罰金が科される可能性があります。
月60時間以上の時間外労働の割増率の引き上げ
2023年4月から中小企業にも時間外労働の法定割増賃金率が変更されました。
月の時間外労働が60時間を超えた場合、割増賃金の割増率が従来の25%から50%以上に引き上げられました。
同一労働・同一賃金の原則
2021年4月から大企業、中小企業に関わらず、同一労働・同一賃金が始まりました。
正社員と、パート、派遣社員との間の不合理な待遇差が禁止され、同じ企業で働く正社員とパート、有期雇用労働者との間で職務内容などが同じであるにも関わらず基本給に差がある、手当てが出ないなどは改善の対象となります。
フレックスタイム制が最大3カ月に拡大
2019年4月に施行された働き方改革関連法ではフレックスタイム制の精算期間が拡大されました。
フレックスタイム制の精算期間は最長1カ月間から3カ月間に延長され、閑散期や繁忙期に合わせて、これまでより柔軟な働き方ができるようになりました。
働き方改革で社労士のニーズは高まっている
働き方改革による法改正で人事労務の業務が複雑化したことから、社労士へのニーズが高まっています。
社労士の仕事は労働保険諸法令に基づく申請書類の作成・手続き業務(1号業務)、法定三帳簿と呼ばれる書類作成(2号業務)、コンサルティング業務(3号業務)の3つに分けられます。
頻繁に法律改正がされるうえ、雇用形態の多様化により対応業務も多岐にわたる昨今では、最新の法律にも精通している労務管理のエキスパートである社労士に依頼した方が手続きもスムーズになり安心です。
1号業務
労働保険諸法令に基づく申請書類の作成や手続き業務は社労士の1号業務に分類され、社労士にしかできない独占業務です。
健康保険や雇用保険、厚生年金などに関する書類を作成し、労働基準監督署などへ提出を代行します。
これらの業務を社労士に任せることで手続きミスや法令違反を防げます。
また、従業員の入退社の多い時期に業務がパンクするリスクを減らすことも可能です。
2号業務
法定三帳簿と呼ばれる就業規則や労働者名簿、賃金台帳の作成も社労士の独占業務となります。
法律の知識がないまま帳簿書類を作成すると、場合によっては法律の範囲を超えてしまう危険性もあります。
法定三帳簿は企業にとって重要な書類のため、労働関連の法律の専門家である社労士が作成するケースが多くあります。
3号業務
働き方の多様化により、人事労務の問題も複雑化し、労働問題が起こりやすくなっています。
社内では解決が難しい場合、社労士にコンサルティングを依頼できます。
3号業務は社労士の独占業務ではありませんが、社労士は専門家の立場からのアドバイスが可能です。
目まぐるしく制度が変わる人事・労務関連業務は社労士に任せた方がスムーズ
社会保障制度は頻繁に改正が行われます。
近年の働き方改革により法律も頻繁に改正され、新しい制度に企業の担当者だけで対応するのが難しくなっています。
人事・労務関連の業務は専門家である社労士に依頼した方が新しいルールにスムーズに対応でき、安心です。