新着情報
2023.04.28
社労士の資格とは!?業務内容・国家試験の概要・試験勉強の方法
働き方改革が進められ、テレワークなど働き方が多様化している今、以前にも増して企業の労務管理が重要視されています。
しかし、多様化する従業員の働き方に対応するのは企業にとっても大きな負担となります。
そこで労働問題や社会保険など、企業における労務管理の専門家として相談を受けるのが国家資格の社会保険労務士です。
ここでは、社労士の資格について解説します。
社会保険労務士(社労士)とは
社会保険労務士(社労士)は社会保険や労働関連における法律の専門家として人事や労務管理の相談を受け、社会保険の手続き代行を行います。
社労士は国家資格である社労士資格を取得している人のみが就ける仕事です。
雇用や社会保険、労働問題、公的年金の分野では唯一の国家資格となっているため、需要が高く、働き方改革が叫ばれる昨今では活躍の場が広がっています。
企業成長には「お金」「モノ」「人材」が必要と言われていますが、そのうち社労士は人材に関する専門家であり、企業の採用から退職までの社会保険手続きや労働問題に関する相談、年金相談に応じるため、業務内容は広範囲にわたります。
社労士の業務内容
社労士の業務は、「1号業務」「2号業務」「3号業務」に分けられ、1号業務と2号業務は社労士の独占業務となります。
手続き代行(1号業務)
健康保険や雇用保険、厚生年金などに関連する書類を作成し、労働基準監督署などの行政官庁へ提出を代行する業務です。
1号業務は国家資格の社労士にしかできない独占業務となります。
労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成(2号業務)
企業が労働社会保険諸法令に基づき作成すべき就業規則、労働者名簿、賃金台帳などを作成する業務です。
帳簿書類の作成を行う2号業務も国家資格である社労士のみに行える独占業務となります。
人事労務関連のコンサルティング(3号業務)
働き方が多様化した昨今では、人事労務の問題も複雑化し、社内だけでの解決が難しい場合もあります。
その際に人事労務の専門家である社労士に相談をすることができます。
3号業務である人事労務関連のコンサルティングは社労士の独占業務ではないものの、専門知識が必要なため、社労士の分野となります。
社労士資格の概要
受験資格
社労士試験の受験資格は
①学歴
②実務経験
③厚生労働大臣の認めた国家試験合格
の3つに分けられ、このなかのいずれか1つを満たしている必要があります。
また、申込時には受験資格を有していることを明らかにするため、「受験資格証明書」を提出する必要があります。
難易度
社労士は一般的に国家資格のなかでも難易度が高めだと言われています。
主な国家資格の合格率を見てみると、
・社労士…約6~7%
・司法書士…約4~5%
・行政書士…約9~10%
・宅建士…約15~17%
となっており、
さらに主な国家資格に必要な勉強時間は
・社労士…700~1,000時間
・司法書士…3,000時間
・行政書士500~1,000時間
・宅建士200~300時間
とされ、高い難易度であることが分かります。
試験内容
・労働基準法及び労働安全衛生法
・労働者災害補償保険法
・雇用保険法
・労務管理その他労働に関する一般常識
・社会保険に関する一般常識
・健康保険法
・厚生年金保険法
・国民年金法
試験形式
選択式:40問
択一式:70問
全8教科の各科目で合格基準点が設定されているため、全科目で合格点を取る必要があります。
社労士資格の勉強方法
社労士は国家資格のため、知識水準が一定以上でなければ合格水準に達することができません。
そのため、国家資格であることを踏まえて試験対策をすることが大切です。
社労士資格の取得には、人によるものの700~1,000時間程度の勉強が必要であると言われています。
仮に1年間で700時間勉強する場合、1日2時間勉強をする必要があります。
社労士試験の勉強法は独学またはスクールで講座を受講して対策するのが一般的です。
独学での勉強方法
書店などでテキストや問題集を購入し、自分で勉強する方法です。
過去問を使って出題傾向を把握すると共に、繰り返し学習して記憶を定着させます。
社労士試験は科目が多い上に各科目に合格基準点が設定されているため、全科目を横断的に学習し、それぞれの科目で合格点をクリアできるよう勉強します。
独学では、高得点を目指すことよりも合格点をクリアすることを目的として行うと効率的に学習を進めることができます。
スキマ時間を使ってコツコツ勉強できる方や法律に関する知識を学ぶのに抵抗がない方は独学での学習が向いているでしょう。
スクールでの勉強方法
社労士の資格スクールは、授業を受ける時間を確保する必要はありますが、講義を受けることで効率的に勉強することができます。
また、最新の法改正や出題傾向を教えてもらえ、分からないことは講師に質問できる点が大きなメリットです。
スクールの教材はテキストと問題集のセットが基本です。
さらにDVDや動画視聴で自宅でも講義を視聴できるシステムが整っている講座も増えています。
独学に比べて費用は高くなる傾向にありますが、法律関連の問題に初めて触れる方や1人での勉強は集中力が続かないという方におすすめです。
社労士事務所の種類
社労士事務所と一口に言ってもそれぞれ業務の幅や専門としている業務が異なります。
例えば、社労士事務所には以下のような種類があります。
・労務管理の相談を専門に行っている社労士事務所
・就業規則作成と労務管理の相談を得意としている社労士事務所
・社会保険関連の手続き代行を中心に行っている社労士事務所
・給与計算のアウトソーシングを広く請け負っている社労士事務所
・助成金の受給を目的として就業規則作成や社会保険手続きを行っている社労士事務所
・公的年金の相談や請求事務代行を専門に行っている社労士事務所
このように、事務所によって専門としている分野が異なりますので、契約前にどのような相談ができるのか、どのような仕事を請け負ってもらえるのかを確認しておくことが大切です。
働き方改革が進む今、社労士の活躍が期待されている
社労士は国家資格のなかでも難易度の高い資格ですが、働き方が多様化し、働き方改革が進む今、人事労務関連の問題も多様化しています。
また、サービス残業、ハラスメント等、働く人の権利が不当に侵害される事案も増加しているのが現状です。
社労士は、このような労働問題に対し、働く人の権利と企業の運営を守るアドバイザーとしての役割を担う専門家です。