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2022.11.25

社会保険労務士の仕事内容とは?社労士にしかできない業務内容

 

人事や労務の業務に携わったことがある方であれば、社会保険労務士(社労士)という専門家をご存じなのではないでしょうか。

しかし一方で、社会保険労務士がどのような仕事をしているのかについてはあまり知らない、という方も多いかと思います。

 

そこで、社労士がどのような仕事をしているのか、社労士にしかできない仕事はどのようなものなのかについて解説します。

 

社会保険労務士(社労士)とは

社会保険労務士は労働法や社会保険に関するプロフェッショナルで、就業規則や社会保険の手続き、書類の作成の代行に加え、人事コンサルタント、年金コンサルタントといった相談業務を行います。

 

社労士の業務のうち、就業規則や雇用契約書の作成、社会保険に関するハローワークや年金事務所での書類手続きの代行などは社労士にしか許されていない「独占業務」となります。

 

1号業務(独占業務)

社会保険労務士の「1号業務」は以下の業務を指します

 

1.労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成

 

2.申請書等の提出に関する手続き代行

 

3.事務代理
労働社会保険諸法令に基づく申請等について、またはその申請等に係る行政機関等の調査もしくは処分に関し当該行政機関等に対して行う主張もしくは陳述について代理すること

 

4.紛争解決手続き代行業務(特定社会保険労務士に限る)

 

労働社会保険諸法令に基づき、行政機関等に提出する申請書、届出書、報告書、審査請求書、異議申立書、再審査請求書その他の書類の作成や提出代行を行います。

 

具体的には、労働保険や社会保険の新規加入や脱退などの手続き、労働保険の年度更新の手続き、健康保険の傷病手当金や出産手当金などの給付申請手続き、各種助成金申請手続きなど、従業員の入社から退社までのさまざまな手続きに関して書類作成、手続き代行を行います。

 

社会保険の手続きがされていない場合、労働者が失業した場合などに本来支給されるはずの保険給付が行われず、労働者に不利益をもたらしてしまう可能性があります。

 

通常、このような書類作成の業務は総務課など専門の部署で行うことが多いですが、行政機関に提出する書類は多く、法改正も頻繁に行われるため、日常業務をこなしながら対応するのは限界があるでしょう。

 

そこで、社労士が当事者の代理人となることで、専門的な知識を生かして手続きを代行してくれます。

 

1号業務は社会保険労務士の独占業務となります。

 

2号業務(独占業務)

社労士の2号業務は

・労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類等の作成
・労働者名簿、賃金台帳等の作成

です。

 

労働基準法で作成が定められている書類には就業規則、労働者名簿、賃金台帳などの書類があります。
これらの書類作成については社労士の独占業務となり、社労士の資格がなければ取り扱うことはできません。

 

2号業務も社労士の独占業務です。

 

3号業務

3号業務は

「事業における労務管理その他の労働に関する事項および労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について相談に応じ、または指導すること」

 

つまり、コンサルティング業務にあたります。

目まぐるしく変化する労働環境の中で、企業は就業規則の見直しや賃金制度の改定、労使トラブルの解消など、労働環境の変化への対応を迫られています。

 

このような問題に対して、専門家の立場から企業に合ったアドバイスを行うことができる専門家として社労士は強く求められています。

 

特定社会保険労務士

社会保険労務士のうち一定の研修を修了した者は「特定社会保険労務士」と名乗ることができます。
これにより、裁判外紛争解決手続き制度(ADR)に基づく代理業務を行うことができます。

 

特定社会保険労務士には、解雇や賃金未払い、ハラスメントなどの労働トラブルについて、裁判外のあっせん業務などを委託することが可能です。

 

社労士の独占業務

1号業務・2号業務は独占業務

上でもご紹介したように1号業務と2号業務は社労士の独占業務です。

 

1号業務は行政機関への書類作成ですが、迅速で精度の高い書類が求められます。

 

また、労働に関する法律の専門知識を持っていなければ代理人としても役に立つことができないため、依頼者の利益を守ることは不可能です。

 

そのため、1号業務は専門知識を持つ社労士の独占業務に指定されています。

 

2号業務も同様に、正しい書式と言葉が使われなければ企業に所属する労働者を保護することはできませんし、労働者も安心して働くことができません。

 

社労士の専門知識により精度の高い帳簿が作成されるからこそ、労働者の保護をはかることができます。

 

社労士以外が独占業務を行った場合は罰則がある

社労士の独占業務を社労士以外が行った場合、社会保険労務士法第32条により、
「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」
を受ける可能性があります。

 

社労士の独占業務は無償であれば行えるか

独占業務は「有償独占業務」と「無償独占業務」の2つがあります。

 

有償独占業務とは、無償であれば無資格者でも独占業務を行うことができ、無償独占業務は無償であっても有資格者以外は業務を遂行することができません。

 

例えば医師や税理士などは無償独占業務となります。

 

社労士の独占業務は「有償独占業務」です。
つまり、無料で社労士業務を行えば違反ではないということになります。

 

しかし、万が一無資格者が業務を代行してトラブルになった場合、社会保険労務士賠償責任保険以外の保険では賠償ができない可能性が高い為、社労士以外への業務委託は避けた方が良いでしょう。

 

また、無資格者が完全に無償で業務代行を請け負うことは考えにくく、実態として社労士の1号業務、2号業務は無償独占に近い形であると言えるでしょう。

 

目まぐるしく変わる労働環境下では社労士に依頼すると安心

近年、働き方改革が進む中で、企業の労務管理はこれまで以上に重視されるようになっています。
法令も頻繁に改正され、労働環境も目まぐるしく変化しています。

 

そのような状況下で企業の総務や会社社長が日常の業務をこなしながら手続きに対応していくのは困難です。
従業員が増加している状態の会社では書類作成や帳簿作成に多くの時間を取られることになってしまいます。

 

そこで専門家の社会保険労務士に依頼することで、業務をアウトソーシングできたり、労働環境や労働トラブルに関する相談をすることができます。

 

従業員に関する事務手続きに負担を感じているようであれば、一度社労士への依頼を検討してみることをおすすめします。